元アニマルシェルタースタッフです。
長文になりますがこの場を借りて懺悔します。
     
その日は、通常業務が終わってからフィラリアの予防薬を全頭に投与する作業があった。
人懐っこく手から薬を食べてくれる子、警戒心が強くチーズを巻かないと食べない子、人を怖が
り小屋の奥に隠れる子など、いくつかのケースがあり、リーダーが指示を出してスタッフを動か
していた。

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そして俺は外犬舎のめちゃくちゃ怖がりな子にあげるように指示された。その子は首輪をしてい
ないため「輪っかリード(リードを首にくるっと一周させる方法)でいいですか?」と聞くと、リー
ダーは「それしかないやろ」と即答した。すぐ犬舎に走ると、外はすっかり暗く、草木が文字通
り月明かりに照らされ、うっすらとあたりが見える程度だった。
     
その子は小屋の奥で小さく身を屈め、怯える瞳でこちらを見つめた。俺はリードを数回投げて、
なんとかその子の首に引っかけることができた。作業を終わらせて早く帰りたいという気持ちが
あった。ぐぐぐ、とリードを引いた。体を仰け反らせて抵抗するその子に対し、更に力を込めた。
犬舎の入り口付近まで来ると恐怖でガチガチに固まっていたその子が、全身の力が抜けたように
ぐったりしていた。声をかけても、揺すっても、反応がなかった。慌ててリーダーを呼びに行き、
施設内の病院で応急処置が行われた。しかしその子が息を吹き返すことはなかった。冷たくなっ
たその子を抱きしめ、何度、ごめん、と泣いたかわからない。
     
誰も俺を責めなかった。けれど絶対的に俺のミスだった。以前にも、ドッグランから犬舎に戻す
際、扉の金具に犬がぶつかって怪我をさせてしまったこともあった。自分を見つめ直して、突き
止めた。動物愛護の気持ちが足りなかった。その心がミスとして表れたのだと。動物愛護の気持
ちがもっとあったら、輪っかリードで引っ張るときに、苦しそうやから他の方法をリーダーに聞
こう、とか、その子を大事に想う発想があったはず。犬舎に戻すときも、慌てず、もっと大事に
犬を見れたはず。仕事に追われ、犬の扱いが雑になっていた。
自分に失望し数日後に退職届を提出した。
     
そんな折、Pawer.内の「もしあなたが現在ペットを飼っているのであれば、その大切な家族を看
取るまで世話をすることが、何よりの動物愛護である」というフレーズに、勝手に救われた気で
います。これからは、母と、かけがえのない愛犬1匹と、平和に暮らしていきます。
     
この記事を見てくれた人の中に動物関係の仕事をしている人がいるなら、この事故、過失致死を
繰り返さない為に、作業が終わらなくても、時間に追われいても、どうか、動物愛護の気持ちを
忘れずに頑張って下さい。

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