日本でどれだけの犬や猫が、
どのように殺処分されているのか。
とても胸の傷むことばかりですが、
小さな命を愛し守る一歩を踏み出すために
現状をご紹介します。
まずは、知ることが大切です。

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毎年8万匹以上が苦しみ息絶える

環境省が把握しているだけで毎年8万匹以上の犬・猫が、収容所である自治体の保健所や動物愛護センターなど(以下、”自治体”)で殺処分されています。(平成27年度環境省調べ)
2009~2014年の6年間では約100万匹、そのほとんどは二酸化炭素ガスによる殺処分=窒息死です。収容された犬・猫たちは、皮肉にも「ドリームボックス」と名付けられた狭い鉄の部屋で10~15分間もがき苦しみ、息絶えます。ドリームボックスを稼働させたりその後死亡確認をする業務には、職員や獣医師が携わります。動物を助けるために獣医師になっても、「殺処分」が業務である限りやらなければなりません。そのため職員や獣医師への精神的負担も大きな課題です。
     
2014年に殺処分された猫は、環境省の統計によると79,745匹。
その内の約6割は、生後間もない仔猫たちでした。乳飲み子は手間がかかるため世話ができない自治体も多く、収容された内の約7割は殺処分されました。犬も猫も生後間もない場合は息が浅いためガスの濃度を上げないと規定時間内に死にきれず、生きたまま焼却炉で焼かれることもあります。

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原因は、過去から現在に続く身勝手な飼育放棄

なぜ、たくさんの犬や猫たちが殺処分されるのでしょうか。まずは、どんな犬や猫が自治体に収容されるのか。Pawer.が考える、犬や猫が自治体に行き着く3つのルートをご説明します。
     
①飼い主が飼育放棄または殺処分を希望して持ち込む:
2013年に改正動物愛護管理法が施行されて以降、自治体は犬・猫の所有者(飼い主やペット販売業者)による引き取りの申し出を拒否できるようになりました。自治体は、終生飼育を促したり飼い主自身が里親をさがすよう指導したりする例も増え、現在はやむを得ない場合に限り引き取っています。それでも2014年には24,385匹の犬や猫たちが、飼い主により持ち込まれました。

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②通報を受けた自治体の職員が捕獲し、保護して持ち帰る:
犬の場合は狂犬病予防法があり、野良犬であれば飼い主がわからない、もしくは狂犬病予防注射を受けていないとされる場合、行政が捕獲し検査をするように定められています。そのため自治体で収容される約8割が成犬です。(環境省「平成26年度引き取り内訳」より)収容されると職員がマイクロチップの有無をリーダーと呼ばれる機械で確認します。
マイクロチップとは、飼い主の情報を登録し動物の体内に埋め込む12ミリほどの個体識別装置です。リーダーで飼い主の情報が得られれば職員が連絡します。ところがマイクロチップは未だ認知度が低く、見つかっても中の情報が空であったりデータの更新がされていない事も少なくありません。
           
一方、猫を対象としたそのような法律はなく、自治体に捕獲義務はありません。
ただし、負傷した猫は保護し、「自分の力で生きられない」と判断された乳飲み子は捕獲されます。そのため、仔猫は猫の収容数の7割以上を占めます。
           

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③一般の人が拾った犬や猫を連れて来る:
一般の人が拾った迷子の犬や猫を自治体に連れて来た場合、犬は狂犬病予防法があるため引き取られます。
上記②のケース同様マイクロチップを確認し、飼い主がわからない場合は自治体のホームページで迷子の情報を公開します。
数日の公示期間中に飼い主からの連絡がなければ、
(1)譲渡に向くと判断されれば里親を募集し、
(2)何らかの理由で譲渡に向かない、または譲渡に向いても収容スペースがない場合は殺処分されます。
成猫も収容されれば迷子情報が公表されます。
目も開いていないような乳飲み子の場合は収容されても殺処分の対象になることが多いため、持ち込んだ方が里親を捜すよう促したり、生後数ヶ月の仔猫であれば「親猫が探している可能性」があるため拾った場所に返すよう指導する自治体や、「自力で生きられない」と判断し引き取る自治体もあります。
           
猫は交尾排卵動物(交尾の刺激で排卵するしくみの動物)であり、妊娠率が99%と高く、親・子関係なく近親交配もする生き物です。
一年に2~3回、一度に約5匹出産します。メス猫は生後約半年から子供を産めるため、理論的には一組のつがいが一年後には50匹以上に増えます。

もともと、日本に野生の犬は存在しません。
そのため自治体に収容される野良犬は以前誰かに飼われていた「イエイヌ」か、その子孫です。
一方、日本にはツシマヤマネコとイリオモテヤマネコという二種類の野生の猫が生息していますが、自治体に収容される野良猫たちは全て人に飼われていたイエネコか、その子孫です。

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いまだにたくさんの犬や猫が殺処分される現状。過去から現在に続く「飼い主の身勝手な飼育放棄」がその大きな理由の一つです。
そして、飼い主が飼育放棄する理由として次のようなものが挙げられます。
           
飼い主の都合(引っ越しや介護など家庭環境の変化、経済面の問題、犬の成長や習性に対する不満、流行りの犬種に買い替えるなど)
犬が逃げ出した(逃げないよう管理していない、逃げたあと探そうとしない、自治体による迷子情報の公示を知らない)
多頭飼育(不妊去勢手術をしていない複数匹を飼育するうちに増えて手に負えなくなった、犬の繁殖に関する知識のない個人が販売目的で繁殖させた結果管理できなくなった)

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特に改正動物愛護管理法が施行された2013年以前は飼い主による持ち込みの理由として、上記①のケースが多く、実際に、引っ越し先が受け入れない、無駄吠えする、老犬になり番犬にならない、医療費が払えない、可愛くなくなった、その犬種のブームが終わった、病気になった、年を取って看取るのがかわいそう・・・などがありました。
自治体側で飼い主がわかっている場合、収容されたペットの情報はホームページで公開されません。
公示期間は里親を募集する目的ではなく、飼い主を探すためにあるからです。
           
収容されたあと一般に公表されない犬や猫の中で譲渡に向いていると判断されれば、自治体が里親を募集したり啓発活動のために保護されたり、愛護団体に引き出される場合もあります。
しかしそれ以外は殺処分対象になります。

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これらの理由に限りませんが、飼い主一人ひとりの飼育放棄が、結果として一匹一匹の命を奪い大量の殺処分を生み出しています。
このホームページの<飼う前に>にもあるように、こういった飼育放棄=殺処分を増やさないため、飼い主は飼う前に「本当に終生飼育が可能かどうか」よく考える必要があります。
           
飼い主の身勝手な飼育放棄が続く限り、殺処分ゼロにはなりません。
           
ペットを飼う・迎える側が、店頭で犬や猫の衝動買いを促すような社会の仕組みについて知り、終生飼育という当たり前の責任を自覚するようになれば、確実に殺処分ゼロに近づくでしょう。

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殺処分数が減っても残る課題

近年の殺処分数を見ると、2009年から2014年の6年間で減少した殺処分数は、1年あたりの平均が25,699匹(合計128,494匹)です。今後も毎年同じ割合で減り続ければ、いつかは殺処分数ゼロの目標を達成できるはずです。
     
しかし、たとえ殺処分の数が減っても、明日殺処分される動物たちにとっては、たった一つの命です。一度奪われた命は、取り返すことができません。人の命と同じように、動物の命も数字やグラフで表すべきではない尊い命です。

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また、殺処分がゼロになったとしても、処分を逃れた動物たちが必ずしも幸せな環境にいるとは限りません。
     
民間保護施設では、一匹でも多く助けるため、少し無理をしてでも保護するところが少なくありません。その結果、里親に引き取られるまでの間、スタッフ不足が原因で十分に愛情を注いでもらえなかったり、散歩に行けず適度な運動量が得られなかったりと、本来望ましくない環境で暮らすことを強いられます。それでもスタッフの方々は、殺処分されるはずだった犬や猫たちに「二度と同じ思いはさせない」という気持ちで、一匹でも多くが譲渡されるよう日々世話をしています。

動物愛護後進国とさえ言われる日本の課題は、殺処分をなくすことはもちろんですが、処分を免れた後も、個々が終生幸せに暮らせる環境を確保することではないでしょうか。それは動物のためだけでなく、思いやりのある社会を目指す私たち自身のためでもあると思います。